「私、ですか?
一応店主とは名乗っていますが、私はただのお手伝いさんなのですよ。時計たちのお手伝いです。
ここにいる彼らはみな好奇心旺盛で、熱心な願いの蒐集家なんですよ。
時計を借りた後のことは、もう知っているでしょう?色々調べてましたものね。
時計達が誰かと扉をくぐればくぐるだけ、経験は増えて、記憶だって積み重なります。掛け時計って長い間一か所にじっとしている事が多いじゃないですか。知らないところに行けるのが楽しいのだそうです。
ん?
どこもおかしいことなんてありませんよ?
物にだって意識はあります。なんだかよくわからない故障、あれは機嫌が悪かったり、している時ですからねぇ。
さて、貴方も自分の借りる時計が見つかったでしょう?
そうそう扉をくぐるのはいつでもかまいません。
あなたのお好きな時に、どうぞいらっしゃって下さい。
いつか、
貴方の願いを見せてくださいね。」