まぶたの裏に、じんわりと光を感じて
そっと目を開けた私の前に
その森は広がっていました
やわらかく心地よい鳥の鳴き声、
木々の隙間からこぼれた光が
葉につたう朝露をキラキラと輝かせています
ああ、きれい
深く息を吸い込むと澄んだ水のにおいがしました。
水辺が近いのかもしれません。
なんてすてきなところなんだろう
私はゆっくりと首をめぐらしました。
そのとき、視界にちらりと赤い色が掠めました。
なんだろう
私はそ目を凝らしてその赤を見つめました。
そこには赤い実をたくさんつけた、大きな木をがありました。
珠のような果実、かわはつやつやしていてみずみずしそうで。
それは私の好きなもの
むかしはたくさんあった
私の好きなものの、ひとつ
おもいだした、あれは、りんご
たまらなくなって私はりんごの木に向かって走り出しました
枝の1番低いところについた赤い果実に手を伸ばしたところで、
カチンと鞄が閉められました。
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